【シュガーラッシュ感想②】SNSで苦しんでる人に見てほしい映画
前回の続きです。
今回は「SNS」に焦点を当てて話していこうと思います。いえええい、SNSに苦しみまくってるので語るぞおおお(変なテンション)
まずシュガーラッシュの概要から、
レーサーゲーム「シュガーラッシュ」のレーサーのヴァネロペ
→同じコースばかりで飽きてる、刺激が欲しい
アーケードゲーム「フィックス・イット・フェリックス」の悪役であるラルフ
→今のままヴァネロペと酒飲んだり、語ったりしていたい。
新しい刺激が欲しいというヴァネロペに否定的。
ひょんなことからインターネットの世界に飛び込んでいく二人。いったいどうなっちゃうの?!
…的な話です(これは酷い)
ゲームセンターにいた二人だから、インターネットの世界なんて見るものすべてが初めての状態です。ヴァネロペは目をきらきらさせますが、ラルフはあたふたしてしまいます。
まず最初に思ったのが、
ディズニーの資本力すげえ
知ってた、知ってたけども
インターネットの世界に現れる様々な企業「グーグル」や「楽天」を初めとして、有名企業がインターネットの中にビルを建設しております。千を超える企業の建物や、人々の回線が入交じり、カオスなはずなのにどこか整序された世界が広がっています。
まずインターネットの表現力に感嘆を漏らしました。
細かいところまで素晴らしかったです。
例えば、青い鳥たちがけたたましくツイートしてたのには笑っちゃいました。かわいい。
最初にノウズモアという検索を担当するキャラクターが登場するのですが、「あ」と打つと「アマゾン」「アスクル」「ANA」と予測を次々に口に出す場面も好きでした。
自分が「連れて行って!」と頼めば乗り物で、お望みの場所まで運んでくれます。スマホやパソコンで簡単に検索できる時代を表してますよね。
ただメリットだけではなく、怪しい人が看板を持ち勧誘する姿(ポップアップブロックめ!と怒ってましたw)なども見られます。
そう、インターネットはメリットだけじゃない。
百番煎じなのはわかってはいても書かざる得なかった。
なぜなら私はSNSで苦しむ人だったから。
話は中盤へ、
お金稼ぎのためにバズチューブに動画を投稿するラルフ。
最初の動画がまずバズったのですが、バズチューブ社長『イエス』というキャラクターに「15秒前にバズったけど、もう飽きられてるわ」と一蹴されます。
SNSの闇その1、飽きられるのが早い。
前にも書いた気がしますが、もう一度問いましょう。
ここまで情報が価値のない時代は今まであったでしょうか?
一つの作品を心に留める機会がほぼなくなったように感じます。どんなに上手な作品を書く作者も、次々に出さなければ飽きられます。
私だったらコスプレ写真ですね。どんな自信作でも、評価が伸びたとしても三日後には評価されなくなります。そして「カフェ俺さんのコスプレ一番好き!」と言ってたフォロワーが、別のレイヤーに同じことをいけしゃあしゃあと言ってるのを見て凹むのです。※個人の感想です。
コンスタントに作品を残せば、見てもらえる確率はあがります。ただ少しでもサボれば一瞬にして忘れられてします。
私が小学生の時はもう少し違ったような気がします。素敵な絵を本で見て、何度も何度も反芻していました。ただ今は違う。どんな美しい作品があっても、スワイプで通り過ぎる時代です。心に響くのは一瞬だけ。
情報の価値自体は下がってるのに、人間の欲望は留まることを知らない。もっと褒めてくれ、何であいつばかり、どうして…そうやって寂しさや嫉妬に変わり、アンチやいじめへと繋がっていきます。
SNSで苦しむ人を見るたび思うのです。
「SNSは人間がまだ手に入れてはいけなかったモノだ」と。
SNSの闇その2、「人気とアンチは比例する」
バズチューブで人気者になったラルフは、更にお金を稼げるように動画を投稿し続けます。SNSなんて知らないので、周りから褒められていることを知らない。これはラルフの強いところだなと。ただ目的のためだけに動画を投稿し続けます。
しかしSNSで自分の悪口が書かれていることを目にしてしまいます。「あいつ嫌い」「面白くない」「馬鹿みたい」etc……
情報の海に流れていく大量の悪口を見て、ラルフは茫然と立ち尽くします。
ゲームセンターの世界でラルフは、悪役とはいえ、彼を本気で傷つけるものはいませんでした。しかしSNSは違います。心無い言葉が、彼を針のように刺していきます。
その姿を見てイエスは、悲しそうな顔をします。
「自分へのコメントは見ちゃいけないの…言っておけばよかった」
この瞬間に私は泣きそうでした。
そう見ちゃいけないんです。だって彼らは何となくで悪口を書いてるんです。そんな言葉に深く深く傷ついているヒマなんてないんです。
SNSの進化と人間の進化が伴っていないんですよね。情報として淡々と処理できるまで、人間はSNSはやってはいけなかったと思うのです。
だってバズチューブという大手企業の社長が、アンチコメの対策として
「見ないようにする」って言ってるんですよ
原始的すぎるでしょう。
どんなシステムを使っても人間の悪意を止めることはできないんです。それしか対応方法がないんです。
ラルフは「いいんだ、俺にはヴァネロペという親友がいるから…」と寂しそうに呟きます。あとでケンカするけど。
そんな顔しないでラルフ…と抱きしめてあげたかった。急に注目されたラルフが気に食わない、自分よりハートをもらってるのが憎たらしい、そんな子供じみたネガティブ感情で書き込んでるだけなんだ。ただの憂さ晴らしで書いてるだけなんだよ。
そしてアンチコメに怒らないラルフが、寂しいほど優しく、私の眼には映りました。
…なんだか、感想①に続き、②も物語に触れていない気がする……
シュガーラッシュは「人はどんな道を進んでもいい」というメッセージがラルフとヴァネロペの二人で描かれています。しかし私は、インターネットに関するメッセージの方がよほど重く感じました。
天下のディズニーがここまでインターネットについて触れたのは初めてではないでしょうか? そこに対する感動もあります。
ヴァネロペは最終的にインターネットに残ることを選びますが、まるで無邪気な子供のようですよね。
刺激的で、同じことなんて一つもなくて…好奇心にあふれた彼女には最良の選択肢に見えます。ここらへんは次の感想に回すとして、私が不安なのは一つ。
ヴァネロペは正直インターネットの良い部分しか見えていないような気がするのです。ウイルスに対しては、インターネットの怖さというより、ラルフの身勝手な行動によって起きたものと思ってそうですし。
果たして彼女がインターネットの闇に触れたとき、どんな反応を示すのか、見たいような見たくないような複雑な気持ちになるのです。